ヒューズの選定手順

公開日時：

2025-07-07 14:53

著者：

ウィコット・エレクトロニクス

ヒューズは一般的に使用される過電流保護素子であり、その役割は回路内で過電流が発生した際に迅速に回路を遮断し、電気機器や配線の損傷を防ぐことです。ヒューズの選定は回路の安全性と信頼性に大きく影響するため、回路の特性や要求に基づき、ヒューズの各種パラメータと性能を総合的に考慮して、適切なヒューズの型番と規格を選ぶ必要があります。本稿ではヒューズの基本原理、パラメータ、性能および選定方法について紹介します。

1、定格電圧：実際の使用電圧以上でなければならず、ヒューズには一般的に24V、32V、58V、63V、125V、250Vなどがあります。

2、規格：機器全体の安全規格認証に基づきヒューズの規格を決定します。例えばUL規格やIEC規格など。

3、構造寸法：回路設計のスペースに応じてヒューズのサイズ（長さ、直径、リード線の有無など）を決定します。

4、遮断能力：ヒューズの遮断電流は回路内の最大故障電流より大きくなければなりません。

5、定格電流：以下の項目を参考に決定します。

（1）正常動作電流：25℃の条件下での運転。

UL規格のヒューズの定格電流は正常動作電流÷0.75以上。

IEC規格のヒューズの定格電流は正常動作電流÷0.9以上。

PSE規格のヒューズの定格電流は正常動作電流÷0.8以上。

（2）環境温度：ヒューズの電流許容能力試験は環境温度25℃の条件下で行われます。環境温度が高いほどヒューズの寿命は短くなり、許容能力は低下します。したがって、ヒューズ選定時には環境温度を考慮すべきであり、環境温度が電流許容能力に与える影響は以下の図の通りです。

（3）純抵抗回路には速断ヒューズが適しており、仕様書のI2T最大値が適切です。コンデンサやコイル回路には遅断ヒューズが適しており、仕様書のI2T最小値が適切です。

（4）パルス：パルスは熱サイクルを発生させ、ヒューズの寿命に影響を与える機械的疲労を生じます。設計時にはパルスI2Tがパルス係数を考慮した上でヒューズの定格融解熱エネルギーI2Tより小さくなるようにすべきです。
　ヒューズの定格I2T > 実際のパルスI2T ÷ Pf
Pf：パルス係数は耐えられるパルス回数により異なり、具体的な数値は以下の通りです。

サージサイクル耐性

測定されたパルスI²t値がヒューズ融断I²t値の22%の場合、そのヒューズは最大100,000回のパルス波に耐えられます。

測定されたパルスI²t値がヒューズ融断I²t値の29%の場合、そのヒューズは最大10,000回のパルス波に耐えられます。

測定されたパルスI²t値がヒューズ融断I²t値の38%の場合、そのヒューズは最大1,000回のパルス波に耐えられます。

測定されたパルスI²t値がヒューズ融断I²t値の48%の場合、そのヒューズは最大100回のパルス波に耐えられます。

6、テスト
　　上記の手順で選定したサンプルは実際の回路でテストを行い、選択したヒューズが適切かどうかを検証する必要があります。この検証は正常条件および故障条件下でのテストを含み、選択したヒューズが保護対象の回路で保護機能を果たすことを確実にします。

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